食品製造においては、クリーンな環境での作業が求められます。
クリーンルームがある場合、前室で着替えと手洗い、粘着シートで毛髪やホコリを取った後、エアシャワーを通ってクリーンルームへと入室するのが一般的かと思います。
クリーンルームは、外気の流入を防ぐために気密を保った構造になっています。
気密を保つためには、建屋の設計段階からクリーンルームの設置場所を計画して、気密を保てる構造にしたうえで、天井部分にファンフィルターユニットを埋め込み、床面をグレーチングにするなど、大掛かりな工事になってしまうことがあります。
そのため、クリーンルームの建設には数ヶ月、場合によっては年単位の時間と莫大な費用が発生してしまいます。
そのような大掛かりなことはせずに、部屋の一角だけをクリーンな環境にしたいと思われたことはないでしょうか?
一角だけクリーンな環境にする装置としてクリーンベンチがあります。
一般的なクリーンベンチは、囲われた箱型の装置内に清浄空気を送り込むことで、装置内部を陽圧にして空気を外に押し出します。
一方で、その囲われた構造上、手だけを差し込む形で作業する必要があるため、モノの出し入れが多い作業や作業者が覆いかぶさるような作業には不向きです。
そこで今回は、周囲を囲わずにクラス1環境を構築可能なクリーンシステムをご紹介します。
クラス1:清浄度の最高レベルで、1立方メートルの空気の中に0.1μm以上のコンタミが10個以下
風速と風向が全て同様に調整された気流を発生させる装置を向かい合わせ、気流をぶつけてゾーン外側に押し出すことによって、そのゾーン内をクラス1の清浄度にするというシステムです。
周囲を囲わずに、部屋の一角だけをクリーンルームと同じ環境にすることが可能です。
囲いがありませんので、装置の間に机を置いて、作業者が向かい合わせで作業することが可能です。
また、装置を複数並べることによって、周囲を囲わずに製造ラインの一部分だけをクリーン化するといったことも可能になります。
<設置が簡単なクリーンルーム>
部屋の一角だけではなく、より広い空間をクリーン環境にしたいという場合は、積み木方式のユニット型装置に透明な帯電防止塩化ビニルシートの囲いや、衝突壁を組み合わせることにより、既存の部屋をクリーンルームにすることが可能です。
建屋を造る必要がないため建設コストを抑えられ、さらに、気密をとる必要がないため設置が簡単で、工期も短期間で済みます。設置後の移設やレイアウト変更にも対応可能です。
粉塵を希釈するのではなく排出して清浄化するシステムなので、短時間でクリーン化できるだけでなく、一旦粉塵で内部が汚れてしまっても、素早く排出して元の清浄度に戻すことができます。
外部からそのまま入室したり、中でクリーンスーツに着替えたりしても、内部の清浄度を高く保ちます。
よって、一般的なクリーンルームでは必要な入退室のための前室やエアシャワー等の設備も不要になります。
また、一般的なクリーンルームは給排気を常に行わなくてはいけないため、運用にはかなり高額なランニングコスト(電気代)が必要になってしまいます。
清浄度を形成するまでに時間を要するので、使用する前の準備運転もランニングコスト(電気代)への負担になってしまいます。
一方、こちらのクリーンシステムは排気システムを必要としません。
高い排出力から、短時間でクリーンゾーンを形成できるため、消費電力を抑えることが可能です。
一般的なクリーンルームの消費電力と比較すると、通常運転時で約1/3、スリープモード※時には約1/10の消費電力で運転が可能です。
※オープン部分をスライドスクリーンによって閉じた状態
いかがでしょうか?
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