受水槽は、工場や集合住宅、学校、病院などの大きな建物で水を供給するためには欠かせない設備です。
受水槽に使われる素材はいくつかありますが、代表的な素材としてFRP(繊維強化プラスチック)があります。
FRPは強い素材である反面、紫外線等により加水分解を起こし劣化します。
加水分解による劣化が進むと、手で触ったときに白い粉のようなものが指につくようになります。(チョーキング現象)
さらに劣化が進むと、強化材として使用されているガラス繊維が露出し、飛散することがあります。
劣化によりFRPの強度がなくなると、水圧に耐え切れなくなり亀裂が発生する可能性や、清掃・検査時に天板を踏み抜いてしまう可能性があります。
そこで今回は、加水分解を止めることでFRPの劣化を防止するタンクステンコートをご紹介します。
タンクステンコートとは
既存のFRP受水槽外側にタンクステンコートを施工するだけで、新しい水槽に生まれ変わります。
外観が美しくなるとともにFRP受水槽の寿命を大幅に延ばすことができます。
塗料に含まれるステンレスピグメント(SUS316L)は、非酸化性酸、孔食、腐食性ガスに対する耐食性に優れています。
コーティングを拡大すると、うろこ状に幾重にも覆われて被膜が強力に密着しています。
タンクステンコートの施工例
① 養生
水槽廻りの床面および配管廻り養生
② 高圧洗浄・けれん
高圧洗浄できない場合はブラシ、スクレバー等で汚れを除去
架台・鉄枠部は錆びや浮き上がった塗料をワイヤーブラシ等で除去
③ 脱脂処理
FRP本体・コーナー部・ボルト取り付け部の脱脂
④ コーティング作業
目地部を目地コーキングにてシール処理
タンクステンコート塗装を天場4回、側面・底面・架台・付属部3回実施
タンクステンコートのメリット
① 機能性
樹脂及び金属部への密着が強く、曲げによるひび割れが発生しないため、抜群の強度があります。
また、目荒らしやプライマーといった下地処理を必要としないため、母材を傷めることなく表面劣化したFRPから露出、飛散するガラス繊維を優れた密着力と被膜の形成により封じ込めて表面を強化します。
耐食性に優れたステンレスピグメント(SUS316L)の被膜は金属部分の錆び発生を防ぐため、FRP本体だけでなく、架台・鉄枠部の寿命も大幅に延ばします。
コーティングにより全光線透過率0%になるため、受水槽内に太陽光が入ることがなくなり、藻の発生及び雑菌の発生を防ぎ、受水槽内の水質を保全します。
塗料には人体に有害な物質は一切含まれていません。
② 経済性
受水槽を更新する場合と比較して、コストを大幅に抑えることができます。
更新の場合はタンク本体の費用の他に、産廃費用・仮設タンク設置費用・クレーン費用等の付帯費用がかかりますが、タンクステンコートは塗装にかかる費用のみです。
更新する場合と比較して、費用は3分の1程度に抑えることができます。
さらに、外側から塗装するだけなので、施工時間が短い、生活中の水の供給を止める必要がないといったメリットがあります。
また、受水槽を更新する場合は、大量の産業廃棄物が発生してしまいますが、タンクステンコートによりタンクの寿命を延ばすことで産業廃棄物の発生を抑えることができ、環境にも貢献します。
③ 意匠性
シルバーグレー基調のステンレス被膜で、汚れたタンクが現代的に美しく生まれ変わります。
屋外に設置されているFRP製の受水槽は、7~8年経過すると黒く汚れてきます。
古いFRP受水槽は建物の景観を損なってしまいます。
タンクステンコートを施工することで建物全体の景観を損なわずイメージアップにつながります。
親水性と導電性をたもつため、汚れや苔が付着しにくく、外面の清掃を必要としません。
④ 適応性
ステンレスピグメント(SUS316L)の被膜を形成し、太陽光・酸・アルカリ・塩害等から水槽を守り、大幅に寿命を延ばします。
よって、タンクステンコートの対象は受水槽や高置水槽に限らず、クーリングタワー・キュービクル・船舶等あらゆるオレフィン系樹脂成形品、及び様々な金属(鉄・亜鉛メッキ・アルミ・ステンレス等)への塗装が可能です。
こちらのメーカーでは施工上の欠陥により剥離が生じた場合、10年間の塗膜保証があります。
促進耐候試験では15年以上の塗装効果があり、実績として約30年経過後も塗り替えた事例がないそうです。
※タンクの延命、10年保証はタンクステンコートのみです。類似品、模造品にはご注意下さい。
FRP製の水槽は時の経過とともに劣化が進んでいきます。
交換せざるを得なく前に、劣化を止めるタンクステンコートを検討されてみてはいかがでしょうか。
食品工場物流ナビを運営する板橋工業では、豊富な商品知識を持ったスタッフが、お客様の要望や状況を丁寧にヒアリングし、最適な提案をさせていただきます。
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