食品や医薬品、健康食品といった幅広い製造分野において、製品の表面に特定の機能を付与するコーティング工程は、最終的な製品品質を決定づける重要なプロセスです。
しかしながら、長年にわたり現場で利用されてきたレボルビングパン(レボパン)などの装置は、構造が非常にシンプルである反面、その作業が熟練した職人さんの経験や長年の「勘」に大きく影響されてしまうという課題を抱えていました。
加えて、製造現場では、熟練作業者の高年齢化が進行する一方、作業環境の悪さや高い作業負荷から、若年層の定着率が低いという深刻な人事的な問題にも直面しています。
そこで今回は、大幅な時間短縮と安定品質の自動化を両立するコーティング装置をご紹介します。

このコーティング装置は、従来のレボルビングパンが抱える、作業の属人化による品質のバラつきや、作業環境の悪さといった問題点を解決するために開発されました。
古くから利用されてきた仕組みと比較して、本装置は全く新しい流動原理を応用しているため、誰でも簡単に品質を安定させるレシピの確立が可能となります。
原理・構造
バレル研磨技術から転換した渦流動の原理
この装置は、対象物を「削る」ことを目的としたバレル研磨機が持つ流動原理から発想を得て、「付ける」技術へと転換して開発されました。
この装置の核となるのは、センター(コーティング対象物)の全体へ被覆剤を均一に展延させるための「渦流動」を形成する独自の構造です。
具体的には、コーティング対象のセンターは、内部にあるディスクの高速回転によって遠心力を受けながら外側へと転勤し、移動します。
センターはドラムの内側に沿って上昇した後、広域な表層面を転動落下し、再びディスクの中心付近に戻るという一連の動きを継続する仕組みです。
このような動きの繰り返しが、常に全体を三次元的に動かす渦流動を形成します。
傾斜した回転釜でセンターを転がしながらコーティングする従来のレボルビングパンでは、センター群の表層面だけでしか転動流動が生じていませんでしたが、渦流式コーティングでは全体が3次元的に転動流動するため、センターへの被覆剤が全体に展延し、個々のセンターにすばやく均一にコーティングされていきます。

特長
1.生産効率が2倍以上になる超短時間コーティング
この装置は、水平利用モードにおいてディスクを高速回転させることにより、遠心力を活用した高速コーティングを実現します。
渦流動によって被覆剤のセンターへの展延がすばやく行われる仕組みと、遠心力の作用を組み合わせることで、従来のレボパン(回転式)に比べて、1/2〜1/3の短時間でコーティング作業を完了させることが可能です。
この短時間処理は、ロットあたりの処理時間を短縮し、製造サイクル全体の効率を大幅に引き上げ、生産性向上に貢献する重要な要素となります。
2.ムラやロスを大幅に軽減する高品質な流動制御
品質向上に関して、この装置は優れた流動制御を実現します。
コーティング対象のセンターひとつひとつが停滞なく常に運動するので、「アベック」(センター同士の張り付き)や「貼り付き」(センターが槽へ貼り付くこと)といった現象、および粉や液の材料ロスを大幅に軽減します。
また、ムラなく展延できるため、誰が作業しても同じ品質に仕上がります。
3.レボパン性能を全域カバーし、未知の領域も可能に
本装置は、ドラムとディスクが独立回転する構造を持ち、レボパンの性能領域を全域カバーするだけでなく、さらに今まで作れなかった様々な形の商品のコーティングや不可能領域を可能にしました。
使用目的に応じて水平利用(渦流動)と傾斜利用(レボパン機能)という二つの主要な使用方法を使い分けることができ、渦流式とレボパンの互いのメリットを生かした多種多様なコーティングに対応可能です。
利用できる転動流動形態には、渦流モード(水平)、渦流モード(傾斜)、レボパンモード(傾斜)、攪拌モード(傾斜)の4種類があります。

4.広範な製品と用途に対応する汎用性
この装置は、食品、医薬品、健康食品、ペットフード、触媒など、多岐にわたる業界における造粒やコーティングに広く活用されています。
具体的には、チョコレート、豆、ガム、飴、グミ、フリーズドライ(FD他)、キャラメル、スナック菓子他といった非常に幅広い製品に対応可能です。
糖衣掛け、チョコ掛け、寒梅粉掛け、粉掛け(炭酸重曹/ザラメ/ココア)など様々なコーティングができます。
さらに、丸キャンディのサイコロなどへの形状変更や、サイコロチョコの丸チョコへの形状変更など、製品形状の変更にも対応できます。

このコーティング装置は、品質の安定化や作業負担の軽減といった製造現場の課題に対応します。
自動化とレシピ管理により、経験に頼らない安定した生産体制の構築が可能です。
生産現場の効率化と製品品質の向上を同時に実現するコーティング装置の導入をご検討ください。
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