食品や化学品の製造現場では、粉粒体を空気輸送する際の配管のトラブルが、生産ライン全体の深刻な課題となる場合があります。
特に、研磨性の高い硬質な粉体をステンレス鋼（SUS）や鋼製の配管で輸送している場合、内壁の摩耗が激しく進み、配管が破れてしまうリスクがあります。
さらに、輸送する粉体が配管の内壁に付着しやすく、この付着物が積み重なることで閉塞や詰まりが発生することも大きな問題です。
そこで今回は、配管の長寿命化と粉体のスムーズな搬送を実現する粉体輸送用パイプをご紹介します。
特長
高い耐摩耗性で配管の長寿命化
硬い粉体を扱う工程において深刻な問題である摩耗に対し、極めて強い耐性があります。
例えば、サンドスラリー摩耗試験の結果に基づくと、標準的なステンレス鋼（SUS）と比較して、約4.5倍の耐摩耗性を備えていると評価されています。
また、衝撃による破損も非常に起きにくい材料特性を有しており、-40℃の低温衝撃試験においても破損しにくいという堅牢性を持っています。
結果として、配管の交換頻度を大幅に抑えることができるため、設備の長寿命化を実現します。
※耐熱温度は約90℃であり、高熱下の条件には適しておりません。
フッ素樹脂と同等の優れた非付着性
配管内部の滑りやすさを示す摺動特性は、フッ素樹脂と同等の動摩擦係数を有しているというデータが存在します。
動摩擦係数が低いため、輸送される粉体や粒体がパイプ内壁に付着しにくい「非付着性」を発揮し、スムーズな流動性を維持します。
この滑り効果は、表面にコーティングを施すフッ素コーティングとは根本的に異なっており、材料全体が同じ特性を持つため、配管が摩耗したとしても効果が持続することが見込まれます。
そのため、長期間にわたり閉塞リスクの低減に貢献することが可能です。
運搬負担を軽減する極めて軽量な設計
従来の金属製配管、特にステンレス鋼管（SUS管）は重量が大きく、高所での交換作業や運搬作業が作業員の大きな負担となっていました。
この輸送用パイプは、SUS管の約10分の1の重量という優れた軽量性（比重は約0.94 g/㎤）を実現しています。
この軽量性により、メンテナンス時の運搬や配管の取り回しが格段に容易になり、入替作業の省力化や特に危険を伴う高所作業時における作業員のリスク軽減に大きく貢献します。
食品工場に不可欠な高い衛生基準への適合
食品工場や薬品を取り扱う現場では、設備・機器に対する衛生性が特に重視されますが、厚生省告示第370号に適合しており、構成材料はポジティブリストに収載されているため、食品接触用途においても安心して使用できます。
さらに、吸水率は0.01%未満という極めて低い値を示します。
導入メリット
長期的なメンテナンスコストの削減に寄与
長期的な視点で費用を比較すると、耐用年数が延びることで、トータルメンテナンスコストの大幅な低減が見込めます。
さらに、配管交換にかかる工数自体も削減できるため、全体のコストダウンに貢献します。
生産性の安定と向上を実現
優れた滑り特性（摺動特性）により、粉体の内壁付着や閉塞、詰まりの頻度が低くなります。
これにより、突発的なライン停止時間を大幅に短縮でき、工場の稼働率が向上し、結果的に生産性を高めることが可能です。
また、非付着性が高いことから、配管内部の洗浄にかかる時間も短縮でき、定期的なメンテナンス工数も減らせます。
作業環境の安全性を改善し省力化に貢献
軽量であるため、配管の入れ替え作業における作業員の身体的な負担が大きく軽減されます。
特に、高所などの危険な場所での作業時における安全性向上に貢献し、現場の省力化を促進します。
粉体輸送における摩耗や詰まり、そして高所作業のリスクは、現場の効率と安全性を脅かす要因となっています。
しかし、この粉体輸送用パイプを導入することで、配管トラブルの発生頻度を抑え、長期的に安定した生産ラインを構築することが可能です。
この機会に、貴社の輸送ラインの課題解決に向けて、本パイプの導入を検討されてはいかがでしょうか。
食品工場物流ナビを運営する板橋工業では、豊富な商品知識を持ったスタッフが、お客様の要望や状況を丁寧にヒアリングし、最適な提案をさせていただきます。どうぞ、お気軽に食品工場物流ナビへお問い合わせください。
