重なりを補正!自動化と原価ロス削減を実現する高精度計数機

製造業では、製品の正確な個数管理が出荷品質とコストに直結します。

過剰充填は歩留まりを悪化させ、廃棄ロスにつながります。一方、不足は供給不足や顧客の信頼損失を招きます。

しかし、複雑な形状の製品や単重にばらつきがある食品は、従来の計量方法では正確な計数が困難です。

そのため多くの現場では依然として熟練作業者による人海戦術に頼らざるを得ず、生産性向上の妨げとなり、人手不足の解消も困難にしています。

 

そこで今回は、単重誤差や製品の重なりに強く、高速で正確な個数管理と作業の自動化を実現する計数機をご紹介します。

高精度計数機

従来の計数方法である計量計数機は、製品の重さにばらつきがある場合、精度の担保が難しいという課題がありました。

また、ロットが切り替わるたびにサンプリング検査が必要となるなど、手間がかかる工程を伴います。

一方、光電式センサーを用いた計数装置は、機械構造自体はシンプルであるものの、製品を一列に整列させる必要があり、高速処理が困難です。

さらに、製品同士がわずかでも重なると、過剰な入数として誤って判断してしまうリスクもありました。

これに対し、今回ご紹介する計数機は画像処理技術を採用しており、従来の方式では難しかった様々な製品形態での高精度な個数管理を可能にしています。

 

画像処理による多列計数システム

この計数機は、一般的にデジタル・エリア・カウンターと呼ばれる方式を採用しています。

これは、CCDラインセンサーカメラと独自開発のコントローラを組み合わせた多列計数システムとして機能します。

計数の基本原理は、製品が光源(LED)の前を落下する際にできるシルエット(影)を高速カメラで捉え、コントローラで演算処理するというものです。

カメラの分解能は2048bitで、毎秒10,000スキャンという速さで製品の通過を正確に把握します。

重要な点として、製品をあらかじめ一列に整列させる必要がなく、エリア内で同時に複数の製品をカウントできる設計になっています。

計数の基本原理

1.製品の重なりを正確に判別する補正機能

この計数機は、独自の画像処理技術を活用し、製品が多少重なって落下した場合でも、正確に個数を判別して補正できる機能が備わっています。

旧式のカメラシステムでは製品が重なると2個を1個と誤判定する可能性がありましたが、新計数システムでは2個や3個の重なりを補正する機能が追加されています。

 計数時には、影の総面積を基に個数を推定するため、影が規定値の2倍程度に達していれば、システムはそれを2個と正確に判断できるのです。

製品が多少重なっても正確に計数できるため、精密な整列装置が不要となり、供給装置を簡素化できます。

 2.多列で高速処理を実現するシステム

このシステムは、製品を複数列に分けて同時にカウントする多列計数方式により、従来の単列計数システムを大きく上回る処理能力を発揮します。

例えば、特定のコネクター製品では、重なり検知機能を活用することで3000個/分以上の高速計数を実現しています。

また、多列と単列を組み合わせて計数するタイプや単列を複数列組み合わせたタイプもあります。

多列と単列を組み合わせたタイプの場合、目標個数の手前(例:1000個中の980個)までは多列で高速計数を行い、残りを単列で精密にカウントすることで、スピードと正確性を両立させることが可能です。

多列と単列を組み合わせたタイプ

 3.異物や欠片の混入を防ぐ判定能力

計数機は製品のシルエットの面積を基準に個数を判定するため、この面積判定機能を利用して、ゴミや欠片などの異物をキャンセルできます。

製品サイズよりも極端に小さすぎる、または大きすぎる物体をシステムが検知した場合、それを計数対象から除外することが可能です。

また、画像処理方式は製品と非接触で計数するため、油分などによるセンサーの汚れを心配する必要がなく、異物混入による計数ミスも防げます。このため、安定した計数作業を継続することができます。

 4.製品登録と操作が容易なユーザーインターフェース

操作性に優れたカラー液晶タッチパネルが採用されており、視認性も高く、直感的な操作が可能です。

複雑な設定をすることなく、計数する個数をセットするだけで利用できます。

操作性に優れたカラー液晶タッチパネル

新規製品の登録は、面積登録画面で製品を一つずつ流すだけで自動的に面積が計算され、複雑な操作を要せずに完了します。

一度登録すれば、リスト画面から製品を呼び出すだけで即座に計数作業に入れるため、多品種を扱う現場でも効率的な運用が可能です。

 

幅広い製品に対応可能な計数機の応用分野

画像処理を活用したこの種の計数機は、その高い汎用性から、多岐にわたる製品の個数管理に適用されています。

食品業界においては、カット野菜や乾物、さらには単重のばらつきが大きい冷凍ハンバーグ、ミートボール、チキンナゲット、唐揚げなどの冷凍食品の計数に広く活用されています。

また、錠剤やカプセルといった医薬品、小袋に入った健康食品試供品や化粧品試供品、薬味、調味料といった小袋製品の正確な少数計数充填にも対応可能です。

工業部品の分野でも、ネジ、ナット、コネクターといった電子部品や成形部品、ゴム部品の自動計数に利用されており、これまで人手を要していた工程の品質向上と人手不足の解消が実現しています。

直径1mmに満たない小さな種子から、センサーや秤では対応が難しかった多種多様な製品まで、幅広い計数用途に活用されています。

幅広い製品に対応可能

さらに、この計数システムは、上位の生産管理システムとの連携も可能です。

いつ、何を、どれだけ計数したのかという実績ログ機能(オプション)を備えており、トレーサビリティの確保に貢献します。

また、上位システムから設定を行ったり、稼働状況を監視したりすることで、設定情報のバックアップなど、BCP対策を含む現場のDX化を支援する役割も果たしています。

 

ご紹介したように、計数機は単に数を数えるだけでなく、歩留まり改善による廃棄ロス削減、作業の自動化による省人化、正確な個数管理による品質安定化という、生産現場が抱える複合的な課題を同時に解決できる設備です。

貴社の製品特性や生産体制に合わせた最適な計数システムを構築することで、生産性の向上と品質保持を目指しませんか。

 

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