カメラを使わずに外観検査!低コストを実現した変位センサ導入事例
外観検査と聞くと、多くの方が画像検査装置を思い浮かべるかもしれません。
確かに、画像検査装置は高精度な検査が可能であり、人の目では見落としがちな微細な不良も自動で検出できるなど、多くのメリットがありますが、その導入には高額な設備投資が必要となる場合が多いです。
また、設置や初期調整、メンテナンスにおいても専門的な知識が求められることから、導入のハードルが高いと感じるお客様もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、高額な設備を導入せずとも、発想を少し変えることで、より手頃な方法で外観検査を実現できる場合があります。
そこで今回は、変位センサを活用し、低コストかつ効率的に紙パック製品の外観検査を実現した事例をご紹介します。
お客様の工場では、粘性のある液体を紙パックに充填した製品を製造しています。
紙パックに充填後、トップシールをして冷却、印字の工程を経て、作業者が目視で製品の外観をチェックしながら、手作業で段ボールケースに梱包していました。
そしてこのたび、箱詰め作業の自動化を当社にお任せいただけることになり、インケーサーの導入が決まりました。
インケーサーは、製品を一定数まで自動で集積し、まとめて段ボールケースに差し込む機械で、作業の効率化と人手不足の解消が期待されていました。
手作業の場合、多少製品に変形があったとしても、作業者が工夫することで段ボールケースに収めることが可能です。
しかし、インケーサーの場合、想定外の形状をした製品を機械が自動で調整・対応することはできません。
人であれば可能であった柔軟な対応も、自動化においては困難となる場合があります。
今回は紙パックの上部が膨らむ現象が問題となっていました。
粘性の高い液体を高温で充填した直後は、内容物の一部が蒸気となって紙パック内部にこもることがあり、冷却が不十分なまま密閉すると、内部の圧力が高まり、紙パックの上部が膨らむ場合があります。
この状態でインケーサーが製品を集積して段ボールケースに詰めようとすると、幅が収まりきらずに段ボールケースを潰してしまう恐れやラインが停止してしまう恐れがあります。
この課題を解決するために、インケーサーの前工程で外観を検査し、膨らみのある製品を自動で検出・排除する仕組みが求められていました。
そこで、製品の膨らみが発生する位置(紙パック上部)に変位センサを設置し、距離を測定する方法をご提案しました。
製品に膨らみがある場合、正常品に比べてセンサとの距離がわずかに短くなることを利用し、しきい値を超えたものをNG品として判別するシンプルかつ堅実な方法です。
実際に、センサメーカー立ち会いのもとお客様の工場でデモを行い、変位センサでNG品の検出が可能か否かを検証しました。
テストを実施した結果、変位センサでのNG品検出が問題なく行えることをお客様にもご確認いただき、運用上の懸念も払拭されました。
インケーサーの上流工程に変位センサを設置し、設定したしきい値を超える場合には、プッシャーで製品を自動排出する仕組みを構築しました。
その結果、製品の膨らみによって発生していたインケーサーでの箱詰めエラーがなくなり、段ボールケース破損や作業中断といった問題を解消することができました。
もともとインケーサー単体では目視検査を完全に代替できませんでしたが、今回の変位センサを組み合わせることで、箱詰め作業全体の自動化が実現しました。
また、シンプルな構成のため保守や運用も容易で、導入後の運用負荷も最小限に抑えられています。
お客様が当初希望されていた「製品の自動検査と排出」の仕組みを、予算内で確実に実現できたことで、非常にご満足いただく結果となりました。
このように、現場の状況やご要望を丁寧に伺いながら、実現可能性の高い改善策を一緒に考えてまいります。
「大がかりな仕組みは難しいけれど、今より少しでも現場をよくしたい」
そんなお悩みをお持ちのお客様は、ぜひ一度ご相談ください。
食品工場物流ナビを運営する板橋工業では、豊富な商品知識を持ったスタッフが、お客様の要望や状況を丁寧にヒアリングし、最適な提案をさせていただきます。どうぞ、お気軽に食品工場物流ナビへお問い合わせください。
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