害鳥の侵入をシャットアウト!作業効率も向上した防鳥ネット更新事例
近年、食品工場では消費者の安全意識や取引先からの品質要求の高まりを背景に、製品への異物混入をいかに防ぐかが、現場にとって重要な課題となっています。
異物の混入は一度発生すれば、製品回収や信用低下といったリスクを伴うため、その予防策には細心の注意が必要です。
製造ライン内の管理はもちろんのこと、外部から異物を「持ち込ませない」ことも、全体のリスク対策において欠かせません。なかでも屋外と接する搬入口や開口部は、埃や虫、鳥類など異物の侵入リスクが集中します。
そこで今回は、輸出製品を多く扱うペットフード工場の出荷ヤードにおいて、外部監査対応も視野に入れた防鳥ネット更新工事の事例をご紹介します。
もともと設置されていたネットは、ネット同士の末端をマグネットで吸着させ閉めていました。
強風時にはマグネットが「バチーン」と外れてしまい、風が強くなると安全のためにネットを柱に括り付ける必要がありました。また、はずれたマグネットバーが風に煽られて暴れるため、現場では注意が必要な状況でした。
また、レールは直線専用のカーテンレールが使用されており、一本ずつの直線レールであったため、無風時でもネット上部に隙間が開いていました。マグネットでの固定では密閉が困難で、隙間から鳥が侵入することがありました。
お客様は輸出製品が多く、定期的に外部監査があるため、出荷ヤードへの鳥の侵入は是正勧告事項となっていました。
さらに、ネットが重く、開け閉めに手間がかかることも課題でした。日常的な開閉作業が作業者の負担となっていたのです。
更新前の様子
当社では、現状の課題を丁寧にヒアリングしたうえで、ネット構造・素材・固定方式の全面的な見直しを提案しました。
主な改善ポイント
1.ベンダーレール(曲げられるレール)の採用
従来の直線専用カーテンレールから、自由にカーブできるベンダーレールに変更しました。 これにより、建物の角部分でもネットが滑らかに動き、レール同士の重なり部分を長く確保することで、風による隙間の発生を防ぎます。
カーブ構造により互いのネットが重なることで、隙間をほぼなくすことが可能になりました。
2.多点固定による耐風性向上
ネットの下端は地面3か所に「沈み取手」を設置し、鎖・カラビナで確実に固定。さらに中央ネット両サイドの上部に着脱可能なフックを追加しました。
普段は片側を固定して通常の開閉作業を可能にし、工事や台風などの際には固定具を外して状況に応じた対応ができます。
3.ネットの仕様変更
従来の25mm目から37.5mm目へ変更し、風の抵抗を軽減。同時にロープも細くして軽量化を図り、日々の開閉動作を容易にしました。
今回の工事では、ネット専門業者にとっても開閉式防鳥ネットは初めての挑戦でした。
そこで、お客様・当社・ネット専門業者の三者で意見を出し合い、現場の実情に合わせた最適な構造を模索しました。
施工後も何度か改善工事を重ね、現場の方も使いやすい・風に強い防鳥ネットを完成させました。
施工完了後、出荷ヤードでは下記の成果が現れました。
異物混入防止効果
レールのカーブ構造により隙間が大幅に削減され、また多点固定により強風下でも防鳥ネットを継続使用できるようになりました。
その結果、鳥類の侵入がなくなりお客様にもご満足いただいています。
作業効率と安全性の向上
風が吹いた状態でもネットが勝手に開かず、マグネットバーが暴れて危険な状態になることがなくなりました。
ネットの軽量化とレール構造の変更により、スムーズな開閉が可能となり、作業者1人でも無理なく操作できるようになりました。
これまで風が強くなるたびに発生した作業中断もなくなり、業務をスムーズに進められるようになりました。
ランニングコストの削減
耐久性が高まったことでネットのメンテナンス頻度も減り、ランニングコストの面でもメリットが生まれています。
今回のように、既存設備を単に置き換えるのではなく、現場の運用・課題に即した改善を行うことで、異物混入対策の効果を向上させることができます。
「設置しているのに、機能していない」──異物混入対策の”形骸化”に心当たりがあれば、ぜひ一度私どもにご相談ください。お客様の現場に最適な改善策を一緒に検討させていただきます。
食品工場物流ナビを運営する板橋工業では、豊富な商品知識を持ったスタッフが、お客様の要望や状況を丁寧にヒアリングし、最適な提案をさせていただきます。どうぞ、お気軽に食品工場物流ナビへお問い合わせください。
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