製造現場において、圧縮空気はさまざまな設備を動かす重要な動力源として広く利用されています。
しかし、エアコンプレッサは多くの電力を消費し、施設全体のエネルギーコストを押し上げる要因の一つです。
実は、機器に投入された電力エネルギーの90%以上が、空気を圧縮する過程で熱に変換されています。
これまでの一般的な設備ではその熱の使い道がなく、大気中へそのまま捨てられていました。
エネルギー価格が高騰する中、この目に見えないロスを放置すれば、企業の利益を圧迫する原因となります。

そこで今回は、排熱を有効活用して工場全体の省エネに貢献する熱回収式エアコンプレッサ(15kW相当品)をご紹介します。

従来の機器は、発生した熱をただ冷やして捨てるしか手立てがありませんでした。
本商品は専用の回収ユニットを備えており、これまで無駄になっていた熱エネルギーを温水として取り出すことが可能です。
新たにエネルギーを購入することなく、既存の工程から生じる熱を別の用途に再利用するというアプローチを採用しています。
電力消費の抑制にとどまらず、施設全体のエネルギー効率を改善できる点が特長です。
本機種は出力15kWのオイルフリータイプで、空気のクリーンさが求められる食品・医薬品工場などに適しています。
電動インバータ制御に対応しており、負荷変動の大きい現場でも効率的に運転できます。
機器の動作と熱回収の仕組み
ここで、どのようにして熱を回収し再利用するのか、基本的な仕組みについてご説明します。
機器が空気を圧縮する際、内部では空気の摩擦などによって高温の状態が生み出されます。
本商品は、その圧縮工程で発生した高温の空気を捉えるため、内部に専用の熱交換器を搭載しています。
少ない冷却水量で内部の熱媒体と熱交換させることで、効率よく熱を移動させます。
熱を吸収した水は高温の温水となり、機器の外部へと送り出されます。
生成された温水は、蒸気を作るためのボイラへの給水として利用したり、工場内の洗浄水など各種温水ユーティリティへ供給したりすることが可能です。
捨てられていた熱を水という扱いやすい形に変換することで、施設内での循環利用ができます。

熱回収式エアコンプレッサの特長
3台の熱交換器による効率的な廃熱回収
本機種は3台の熱交換器を搭載しており、圧縮工程で発生する廃熱を効率よく回収する構造です。
回収した熱で生成された温水をボイラシステムなどに供給して給水予熱として活用することで、新たにお湯を沸かすために必要となる燃料を削減できます。
結果として、工場全体のエネルギー消費量を抑えられます。
温水不要時に対応するハイブリッド運転
稼働状況によっては、温水を必要としないタイミングが生じることもあります。
そうした状況にも対応できるよう、空冷と水冷を切り替える機構が採用されています。
温水の供給が不要になった際は、熱回収の運転を停止することが可能です。
その場合、機器に内蔵された別の熱交換器が自動的に作動し、通常の空冷式コンプレッサとして運転を継続します。
季節や生産スケジュールに合わせて稼働させられる構造です。

負荷変動に対応するインバータ制御
工場で消費される圧縮空気の量は、時間帯や生産ラインの状況によって変動します。
本機種はインバータ制御を搭載しており、求められる空気量に合わせて機器の運転を調整します。
必要なタイミングで必要なだけの空気を生成できるため、過剰な運転を防ぎ、余分な電力消費を抑えられます。
熱の再利用だけでなく、空気を作る工程そのものでも省エネを図れます。
水潤滑方式の高吐出流量スクロール
本機種は水潤滑方式の高吐出流量スクロールを採用しており、オイルフリーながら十分な吐出流量を確保しています。
空気のクリーンさが求められる食品・医薬品工場などの用途にも対応可能です。
導入メリット
ランニングコストの削減
捨てていた熱を温水として回収し、ボイラの給水などに利用することで、燃料代を含む年間のランニングコストを引き下げられます。
メーカーの試算(蒸気ボイラ13A仕様、年間稼働6,000時間、電力単価20円/kWh、13A単価100円/m³、ボイラ効率96%、機器の負荷率100%の条件)では、年間約180万円のランニングコスト削減効果が示されています。
CO2排出量の低減
燃料の使用量を減らすことは、そのまま温室効果ガスの削減につながります。
同じ試算条件で、年間約35トンのCO2排出量削減が見込めます。
企業の環境対応への取り組みとしても活用できる設備です。
これまで捨てられていた熱を資源として捉え直すことは、工場全体の省エネを進める有効な方法です。
エネルギーの効率的な活用をお考えの際は、ぜひ導入をご検討ください。
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