食品製造の現場において、異物混入や形状不良を防ぐための検査工程は欠かせません。
しかし、大量の製品を連続して処理するラインでは、不良品を排除する際に多くの良品まで一緒に排出されてしまうことが少なくありません。
結果として商品ロスが増加し、歩留まりの悪化を招きます。
また、排出された良品を回収して再検査する工程には余分な人手と時間がかかり、現場の負担になっています。
そこで今回は、不良品のみを取り除き商品ロスを抑える多列エアー選別機搭載X線検査機をご紹介します。

一般的な1列のダンパー式選別設備では、不良品を弾く際に周囲の良品も巻き込んでしまうという難点があります。
この検査機は、検査エリアを複数列に分け、NG判定された箇所だけをエアーで吹き飛ばす機能を備えています。
良品の巻き添えを減らし、再処理の手間を省くことが可能です。
用途に応じて2タイプが用意されています。
粒状商品(豆、種、ナッツ、研磨材セラミックなど)の検査に適した標準タイプと、油分や水分の多い食品ライン向けに丸洗いが可能な防水タイプです。
防水タイプはウェット環境への対応で特許を取得しています。
X線検査機で何ができるのか
本機器に搭載されているX線検査は、密度差を利用して異物や不良を検出します。
検査対象となる食品(密度0.8〜1.2g/cm³)に対して、密度の高い異物ほど検出しやすくなります。
鉄やステンレス(6.8〜7.0g/cm³)、ガラス(3.5g/cm³)、骨や貝殻(2.0〜3.0g/cm³)、硬質ゴム(0.8〜1.5g/cm³)など、幅広い材質の異物を検出可能です。

また、X線は光を通さない金属系包装材も透過するため、缶詰やアルミ包材の中身検査もできます。
包装後の最終チェックで、包装内に混入した異物を見逃さない仕組みです。
検査項目は異物だけにとどまりません。
同じ機器で形状(割れ・欠け・折れ)、相対質量、個数、空洞(気泡・ボイド)、包装シール部のかみこみなど、複数の項目を同時に検査できます。

※かみこみ検査はX線検査機で対応できる検査項目の一例です。今回ご紹介する多列エアー選別機搭載X線検査機は包装前のバラ流し品を対象としているため、かみこみ検査には対応していません。
安全に内部を透視するX線検査の仕組み
X線検査装置は、病院のレントゲン撮影と基本的に同じ原理を利用します。
対象物にエネルギーの小さな軟X線を照射し、透過した度合いをセンサーで読み取ることで、製品を切ったり壊したりせずに内部の様子を確認できます。
撮影されたX線透過画像を解析して、異物とそれ以外のものを自動判別する仕組みです。
放射線と聞くと不安に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、電離放射線障害防止規則に基づく安全対策が施されています。
週に6日、1日16時間作業をした場合の被ばく量は3か月で1.25mSv程度に収まり、規定の1.3mSvを超えないため作業主任者を置く必要もありません。
食品への照射線量も0.1Gy以下に保たれており、毒性や栄養学的、微生物学的に問題のないレベルです。

多列エアー選別機搭載X線検査機の特長
最小限の排出による商品ロスの削減
独自技術により、不良箇所だけでなく不良品全体を認識し、位置ごとにピンポイントでエアーで飛ばして選別します。
これにより、不良品と同時に排出される良品の数を減らすことができ、歩留まりの向上につながります。

デュアルエナジーとAIによる高精度な検査
2種類のエネルギー帯のX線を組み合わせた高精細なデュアルエナジー検査と、AIによる画像判定を組み合わせています。
アーモンドの目視では判断が難しい虫食いや割れ、ウィンナーの異物だけでなく折れや空洞などの形状不良も、同時に高感度で検査できます。

衛生的な防水対応モデル
防水タイプは、検査機本体IP66相当(検査室内)に対応しており、丸洗いが可能な構造です。
油分や水分の多い食品ラインや、頻繁な洗浄が必要な現場でも衛生的に使用を続けられます。
メーカー導入事例
実際に、1時間あたり1トン以上のウィンナーを処理する食肉加工工場での導入事例があります。
以前の工程では、バラ流しで検査を行い、2列の選別機で仕分けをしていました。
しかし、骨異物の検査抜けによるクレームや、わずかな折れや千切れが見逃される問題が発生しており、「ねずみにかじられたようで不快」といった声もありました。
さらに、NGが出た際に良品を含めて10本程度がまとめて排出されるため、再処理専用ラインを維持する負担が大きくなっていました。
導入後は、高精細デュアルエナジー検査により骨異物の検出精度が向上し、クレームが減少しました。
これまで検出できなかった折れや千切れも検査できるようになり、外観品質の向上につながっています。
また、一般的なダンパー式選別機と比較して、1回の選別あたりのNG排出量が86%削減されました。
良品の巻き添えが減ったことで、再処理専用ラインが不要となり、工程全体の効率化と省人化が実現しています。
メーカー試算によると、人件費、再検査ライン設備費、包材廃棄費を含めた削減効果は年間約3,173万円とされています(条件により異なります)。
製品の品質を保ちながらロスを減らすことは、工場の利益にも直結します。
不良品のみを排除し再処理の手間をなくす多列エアー選別機搭載X線検査機は、検査工程の見直しを検討中の現場にとって選択肢の一つになります。
食品工場物流ナビを運営する板橋工業では、豊富な商品知識を持ったスタッフが、お客様の要望や状況を丁寧にヒアリングし、最適な提案をさせていただきます。
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