冷蔵庫解凍32時間が約2時間に!品質を保つ真空解凍装置

食品産業において、海外から輸入される冷凍食材の利用は一般的になっています。
しかし、現場で調理を行う際、解凍のプロセスには課題がつきものです。
不適切な温度や長時間の解凍作業は、ドリップの流出や色落ちといった品質劣化を招く原因となります。
また、作業の進捗が解凍時間に左右されるため、見込み生産を行わざるを得ず、余剰在庫が発生する原因にもなります。

そこで今回は、低温で素早く均一に解かすことができ、歩留まり低下を防ぐ真空解凍装置をご紹介します。
真空解凍装置


従来の流水解凍や高湿度解凍では温度のムラが生じやすく、季節によって仕上がりに差が出ることが課題でした。
本装置は、内部の空気を排除して低温の飽和蒸気を供給する仕組みを採用しており、食材へ熱を効率よく伝えます。
短時間でムラのない解凍状態を実現し、必要な分量だけを解凍できるため、計画的な生産にも対応できます。

処理量に応じて80kg、160kg、320kg/バッチの3サイズが用意されています。
電源はAC200V三相、必要給水圧力は0.15〜0.40MPa、必要蒸気圧力は0.25〜0.30MPaです。
仕様の異なる2タイプがあり、標準タイプは「HQ解凍モード」と「急速解凍モード」の2モードを搭載、上位タイプはこれに加えて調味液の漬け込みに使える「含浸モード」を備えています。

 

真空と蒸気を活用した解凍の仕組み

装置内部に食材を配置したのち、庫内を真空状態へと減圧します。
空気を排除することで、食材への熱伝達効率が高まります。
その後、飽和蒸気を供給すると、食材の表面で蒸気が凝縮し、その際に生じる潜熱を利用して解凍が進む仕組みです。
飽和蒸気は圧力と温度が一対一の関係にあるため、庫内のどこでも同じ温度を保つことができます。
風の当たり具合や水流による温度のばらつきが発生しないため、品質を安定させやすい解凍方法です。


真空と蒸気を活用した解凍の仕組み

 

短時間で均一な解凍を実現

鶏もも肉2kgパック(厚さ40mm)を半解凍状態にする場合、本装置は20℃急速モードで約105分。
これに対し、室温解凍では約10時間、冷蔵庫解凍では約32時間を要します。
また、温度の低い部分へ集中的に熱が加わる性質があるため、部分的な解凍ムラを防ぎながら全体の温度を均一に保てます。
短い時間で処理が完了するため、微生物の増殖リスクも抑えられます。
鮮度劣化を示すK値の比較でも、流水解凍や室温解凍、冷蔵庫解凍と比べて良好な結果が確認されています。


K値測定例
(メーカー調べ)

 

操作性と視認性に優れたパネル

現場の作業者が扱いやすいよう、液晶のタッチパネルが採用されています。
あらかじめ登録された解凍パターンを選択するだけで、庫内蒸気温度を自動的に変化させて解凍が進みます。
急速モードでは庫内温度を8〜40℃の範囲で、解凍時間を最大999分まで自由に設定できます。
進行状況も画面上で確認できるため、別の作業と並行しながらでも進み具合を把握しやすい設計です。

 

衛生管理を支えるサニタリ設計

食品を扱う現場において、機器の清掃のしやすさは重要な要素です。
本装置には洗浄ガンが標準で装備されており、日々のメンテナンスを行えます。
庫内や扉の裏側にはファンやルーバーがなく、汚れが溜まりにくい構造です。
真空ポンプは水封式を採用しており、汚れの堆積箇所が少ない構造で衛生的です。
また、手洗いしにくい真空配管を80℃5分相当以上の蒸気で直接加熱する「真空配管殺菌モード」も搭載されており、見えない部分の衛生管理にも対応します。
専用台車にはドリップや凝縮水を集める受け皿が設けられており、床を汚さずそのまま冷蔵庫へ運ぶこともできます。
さらに、低床構造によりドア下部の掘り込みだけで本体の掘り込みが不要となり、設置工事の負担も軽減できます(スロープ使用時)。

 

味付けを促進する真空含浸機能

上位タイプには、真空状態における浸透性の高さを活かした「含浸モード」が搭載されています。
この機能を活用すれば、調味液の漬け込み作業を効果的に行うことが可能です。
鶏もも照り焼きの実例では、従来の冷蔵庫静置(180分・途中攪拌あり)と比較して、含浸モードでは90分(途中攪拌なし)と処理時間を1/2に短縮、タレ使用量を30%削減、1バッチの処理量を1.25倍に増加、作業時間も30%削減できたという結果が報告されています。
真空含浸機能
(メーカー調べ)

 

対応する冷凍食材

畜肉(鶏もも・鶏むね・牛バラスライス・牛ブロック・豚ブロック・挽き肉など)、魚介類(えび・いか・さば・たこなど)、野菜(赤ピーマン・ほうれん草・小松菜など)、果物(いちご)、液卵まで幅広い食材に対応しています。
ただし、蒸気の凝縮水を嫌う冷凍物(※)には適用できないため、導入前にご相談ください。
※パンやピザなどの冷凍生地類、製菓用クリーム・あんなど


対応する冷凍食材

 

無駄のない生産体制の構築

本装置を導入することで、必要な時に必要な分量だけを解凍できる体制が整います。
長時間を要する従来の方法では事前の見込み生産が避けられず、状況の変化に対応しにくい側面がありました。
短時間での解凍が可能になれば、直前の計画変更にも柔軟に対応でき、余分な解凍による廃棄を減らせます。
変質を最小限に抑えることで歩留まりの向上にもつながり、作業時間の短縮とロスの削減は工場全体のコスト改善にも寄与します。

 

 

食品工場や物流倉庫における解凍作業の効率化は、品質の維持と直結するテーマです。
現場の状況に合った機器の選定は、生産体制全体にも影響します。

 

食品工場物流ナビを運営する板橋工業では、豊富な商品知識を持ったスタッフが、お客様の要望や状況を丁寧にヒアリングし、最適な提案をさせていただきます。
どうぞ、お気軽に食品工場物流ナビへお問い合わせください。

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